環境配慮設計 2020.5.6

1.はじめに
近年、工業製品には省エネ、省資源、有害物質の含有禁止等、環境に配慮することが求められている。設計者として環境に配慮した設計を行うために求められる項目を3つ挙げ、それぞれに具体例を述べる。
2.有害物質を含まない装置の設計
製品を設計する際、有害物質の入った部品を使わないという事は当然のように考えられている。しかし自身が設計した製品には有害物質が入っていなくとも、その製品に付属する部品、塗料、電子パーツに有害物質が規定量以下かどうかは、各メーカーに問い合わす必要がある。
現在、六価クロム、アスベスト等は、以前は使用の制限がされていなかったが、研究が進むにつれ有害であると証明された物質である。このような物質を以前、機械装置の部品として使っていた場合、リピートで装置を受注した際には注意が必要である。
設計者は代替材料を選択するが、その材質が以前の材質と比較して機能性を満足しているかを判断できなければならない。代替材料の情報量が少ない場合は、実験・検証が必要な場合も出てくる。
3.省エネを考慮した設計
資源は有限であり、今後も人類が持続的にいきていくためには省エネが欠かせない。日本は資源が少なく、ほぼ全量を輸入に頼っているので省エネを考慮した設計が重要である。具体的にはリサイクルを考慮した設計を行う。分解しやすい構造、機構の採用が望まれる。なおリサイクルのためのシステム作りは、企業、政府、自治体が一体となって行わなければならない。
4. 有害物質の情報収集
設計者は有害物質の種類、法律、各国の輸入条件等の最新情報を適宜収集しておくべきである。特に欧州向けに装置を輸出している場合にはRoHS指令やREACH規則等、罰則を伴う指令や規則があるので最新の情報を集めておく必要がある。
4-1. RoHS指令
RoHS指令は、「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限」のことで、電気・電子機器のリサイクルを容易にするため、また最終的に埋立てや焼却処分されるときに、人や環境に影響を与えないように、EUで販売する電気・電子機器の有害物質を非含有とさせることを目的として制定されている。規制対象になっているのは、鉛、水銀、六価クロム、カドミウム等がある。
4-2. REACH規則
REACH規則の目的は、「人の健康と環境の保護」「化学物質のEU域内の自由な流通」「EU化学産業の競争力の維持向上と革新の強化」などであり、化学物質のほとんどすべてを対象としている。具体的には以下の項目がある。
・リスク評価や安全性の保障責任を産業界に移行する
・既存化学物質と新規化学物質の区分を廃止する
・川下企業にも安全性評価の責任を負わせる
・有害化学物質の情報はサプライチェーン全体に伝達する
・利用が可能であれば、より危険性の少ない物質へ代替を奨励する
REACH規則には「登録」「評価」「認可」「制限」「情報伝達」の義務が生じる。またREACH規則はEU加盟国に適用されるが、EU域外から輸入される物質についても登録・評価が要求される。そのためEU域内へ輸出する事業者にも同規則を遵守する義務がある。
以上