SS400 2020.12.19

1.はじめに
SS400はSS材の中で最も使用頻度が高い。このSS400について概要、用途、メリット、他の鉄系素材との違いにつて述べる。
2.概要
SS400とは一般構造用圧延鋼材のことで、SSはSteel Structure、「400」はこの材料で保証する最低の引張り強さをMPa(N/mm2)で表記したもの。数字は「下限の引張り強さ」を示しており引張強さが400~510N/mm2のものをSS400と呼ぶ。
3.用途
建築や船舶、土木(橋梁)、自動車など多岐に渡る。
4.メリット
最も大きなメリットは、圧倒的に流通量が多く材料も安価であるため、とにかく手に入れやすい点。また炭素の含有量が少ないため焼入れなども不要で、そのまま構造材や部品として使える加工性のよさや、多岐に渡る用途に耐えられる汎用性の高さにある。
5.デメリット
炭素の含有量が少ないことから焼入れによる強度調整が不要な反面、必要な強度が得られない点である。SS400はおよそ0.2%以下しか炭素を含んでいないものが多く、鉄鋼材料の中ではやわらかい材料、軟鉄に分類される。そのため高い硬度や耐摩耗性が求められる摺動部位(軸に対する軸受け部など、擦れながら滑り合う部分)に使うのには不向きであり。そうした硬さが必要な場面では、炭素鋼であるS45Cを用いた方が良い。
6.耐熱性
鋼鉄系の材料としては耐熱性の高いほうではないが、一般に用いられる範囲内では問題ない耐熱性を備えている。
7.硬度、耐摩耗性
炭素含有量についてJIS規格上の規定がないため、硬度や耐摩耗性にはあまり期待できない。
8.SPCCとの違い
SS400と比べるとSPCCのほうが強度が高い。またSS400が熱間圧延であるのに対し、SPCCは冷間圧延であることからSPCCは表面が綺麗に仕上がるという特徴を持っている。しかし冷間圧延のため板厚を厚くするのは一般的でなく、薄板での使用が主である。一定の強度が求められる場合にはSS400が選ばれる。またわずかではあるがSS400の方が低価格。
9.S45Cとの違い
SS400とS45Cの主な違いは強度である。SPCCの場合とは対照的にSS400よりもさらに強度を持っている材がS45Cである。45Cとは0.45%前後炭素(Carbon)を含んでいることを表していて、その分SS400よりも強度や硬度が高くなる。ただし高強度・高硬度なため加工性が低く、価格もSS400よりはるかに高くなる。そのため基本的にはSS400を使用し、特に強度が必要な部分にはS45Cを使用する、といった形で用いられる。
以上