アルミ 2020.12.11

1.はじめに

アルミの特徴、製品使用例、留意点について述べる。

2.特徴

軽量

鉄と比べて約1/3と軽量であり、柔らかいので加工しやすく、精度の優れた材料、簡単に再生することができるのでリサイクルにも適している。

耐食

表面に酸化皮膜を生成するため耐食性が優れており、錆びや腐食に強い。

溶解

熱による溶解も、鉄の約1/3の温度で溶ける。溶解温度は、鉄が約1530度、銅は約1080度、アルミ約660度である。

導電性

通電性が高く導電体としてコストが安く抑えられる金属なので、エネルギー関連やエレクトロニクスの分野で使用されている。

磁気

アルミは磁気を帯びないので、磁場に影響されず数値が狂うことなく作動できる。

熱伝導

アルミの熱伝導率は鉄の約3倍である。熱が伝わりやすいということは同時に冷えやすいという性質も持つので、その熱しやすく冷めやすい特性を活かして車のエンジンや冷暖房装置に有効的に使用されている。切削・研削加工時は、工具とワーク間で加工熱が発生するが、ワークの熱伝導性が高いと熱が逃げやすいため、局部的な温度上昇が少なく、ワークの歪みや研削焼けの発生をおさえられる。また加工熱による工具の磨耗も進行しにくいため、工具寿命がのびるという利点がある。

反射

純度が高く、よく磨かれたアルミは反射性にも優れている。紫外線や赤外線、電磁波など優れたアルミは約90%以上反射する。そのためレーザープリンターや紫外線をカットしたい宇宙服にも組み込まれている。

塑性加工

アルミは優れた加工性を持ち、塑性加工がしやすいため、さまざまな形状に成形することができる。例えばアルミホイルのような薄い箔の形状から、建築材料や家電、産業機械で使用される複雑な形状を持つ押出材まで容易に製造することが可能である。

接合

アルミは、溶接、ろう付け、はんだ付け、電気抵抗溶接、リベット接合、接着などさまざまな方法で接合できる。(注記:後ほど留意点で述べるが、アルミニウムの特性を理解し、適切な施工方法をとることによって、溶接ができるという意味)

無害・無臭無害・無臭

アルミは人体に影響がなく土壌にも優しい。無害無臭で衛生的なので、チョコレートや缶ジュース、医薬品などの包装や医療機器など直接人が触れる商品、道具にも安心して使うことができる。

低温耐性

-162度の液化天然ガスや-196度と言われる液体窒素を入れるタンクに使っても耐えることができる。その低温での有効性から宇宙開発からバイオテクノロジーなどにも用いられている。

リサイクルしやすさ

熱に溶けやすく酸化しにくいことから再利用しやすく、リサイクル品でも新品の素材とほぼ変わらない品質で製造できる。

3.製品使用例

飛行機のボディ、スマホの素材、化粧品のケース、屋根、電線、コンデンサー、船の計測機器や医療機器の部品等に使用されている。

4.留意点(デメリット)

1.鉄と比べて強度が低い

2.溶接がしづらい。アルミの溶接は下記の理由で難しいとされている。矢印で示した対策をとる必要がある。

2.1加熱すると酸化する可能性が高い

  →高純度のアルゴンガスを使用し酸化を防ぐ

2.2母材の表面に酸化被膜ができてしまう(酸化被膜の融点は約2000℃)

  →溶接加工を行う前に皮膜を除去する

2.3融点が低い(アルミニウムは、融点が660℃であるが、熱伝導率が非常に良いため、溶接加工を行うと、熱が母材にすぐ伝わってしまい、母材自体に溶け落ちが生じる)

  →母材に対する入熱管理を細かく行う

2.4ブローホールが生じやすく、ひずみ易い

→母材や溶加材の管理や溶接に適した環境を作る

2.5溶接割れの傾向が大きい

  →母材と溶加材の組み合わせに細心の注意を図る

3.鉄と比べると材料費が高い。

以上