デジタル エンジニアリング 2020.8.10

1.はじめに
これまで「ものづくり」分野では、いわゆるCAD/CAM関連業務が重要な技術として用いられてきたが、近年のネット環境やコンピュータの著しい進展とともに「ものづくり」技術は従来のCAD/CAM等を包含し、デジタル技術を最大限下に活用した「デジタルエンジニアリング」(DE:Digital Engineering)と称される内容に大きく変化した。また情報技術(IT)の発展に伴って、ITが経営革新の強力な武器となり、ITをどう活用するかによって企業のパフォーマンスを左右する時代になった。この「デジタルエンジニアリング」について述べる。
2.目的
デジタルエンジニアリングの目的は、正確で完全な生産・技術データを、必要な場所で、必要な人が、必要なデータを、必要な形で利用できる環境を低コストで実現することである。すなわち、スピーディーで正確なコミュニケーションの実現であるといえる。
3.詳細
デジタルエンジニアリングの実現の中核にあるのが、開発・設計・生産に関するデジタル情報による一元化管理とリアルタイム対応可能なデータベース化(PDM:プロダクト・データ・マネージメント/製品管理システム)である。
これにより設計部門間、及び設計と製造、同じく購買など関連部門間における作業の同時平行展開と情報のスピーディーな流通が実現できる。このようなコンカレント的な考え方が、日本企業では、既に設計と製造間においては、ある程度実施されている。例えばQC活動による部門の垣根を越えた共同作業等もコンカレントエンジニアリングの一種である。
設計においては3次元CADが使われるようになり、試作などを行う前にデジタルの情報で干渉チェックや組立性を検証し、デザインレビューにも用いられる。また構造上の問題がないかをCAEなどの解析ツールを用いて事前に検証することができる。
4.所見
デジタルエンジニアリングの実現にあたっては、市販されているPDMシステムや2次元、3次元CAD等のツールの選定をする前にデータをどのように活用すると、どんな効果がでるのかを検証し、仕事の流れ、やり方を工夫することが重要である。すなわち「業務の見直し」、「組織の見直し」、「システムの見直し」の三位一体のシステム構築が必要である。IT技術の進歩が著しい昨今においてはデジタルエンジニアリングをどのように活用していくかが競争を優位に進めるために重要なポイントとなる。
以上