FMEAとFTA 2020.6.28

1.はじめに

 FMEAとFTAの概要、目的、手順、それぞれの違いについて述べる。

2.FMEA概要

 トラブルを予測し未然防止を効率的に行うための手法として、よく使われるのがFMEA(故障モード影響解析:Failure Mode and Effect Analysis)である。1960年代半ばから航空機産業の開発プロセスで、 操縦システム等の信頼性を評価する方法として採用され、その後自動車産業で一般的に使用されるようになった。自動車メーカーでは, 製品の設計・工程のプロセス設計で活用されており、製品機能の安全欠陥予防に対して非常に有効性のあるリスク予防の手法となっている。

3.FMEA目的

 設計と工程の潜在的故障を予測・認識し評価することで、潜在的な故障が発生する可能性を除去し、発生のリスクを少なくすることが目的である。

4.FMEA手順

 部品ごとに考えられる故障モードを予測しワークシートに文書化する。危険度を影響度×発生頻度×検出度として算出し、重要な故障モードの選定を行う。この数値が大きいほどリスクが高い傾向になる。この数値の高いものから優先順位をつけて対策を立案・実行する。

5.FTA概要

 FTA(故障の木解析 : Fault Tree Analysis)は、信頼性保証の手法の一つである。特定の故障に対して、 その原因を追究していくことで、 その特定の故障への対策を検討する手法である。FTAは米国ベル研究所が考案し1965年ボーイング社により完成した。原子力プラント・化学プラント・交通システムなどに幅広く応用され、それぞれ一定の効果を発揮している。

6.FTA目的

 信頼性および安全性を損なうような「望ましくない事象」をなくすために、故障の木図を用いてその原因を探り当て、対応処置を見つけることにある。

7. FTA手順

 製品の好ましくない事象「トップ事象」を初めに仮定し、それについて考えられる故障・事故に至った道筋を、発生確率とともに故障の木図で表し、分析していく。また定量的な故障の発生頻度分析のために原因の潜在危険を論理的にたどりそれぞれの発生確率を評価する。

8.FMEAとFTAの比較

 FMEAは故障が起こる前に様々な故障モードを予測し対策を検討するものであるのに対し、FTAは特定の故障に対して、 その原因を追究していくことで、 その特定の故障への対策を検討する手法である。展開の仕方の違いから、 FMEAはボトムアップ方式、 FTAはトップダウン方式の考え方とされている。FMEAとFTAの概念図は下図のようになる。

以上