TRIZ 2020.6.21

1.はじめに
「TRIZ(トゥリーズ)」とは、ロシア語の「発明的問題解決理論」の頭文字で、発明や技術的な問題解決の成果である特許情報を分析し、そのパターンを抽出することで、ほかの発明にも応用できるとした考えである。
世界中で公開された40万の特許情報を分析し、「40の発明原理」を抽出し、発明や問題解決の「定石」として体系化した。
2.発明原理
特許の中に繰り返し現れる問題解決の構造を「技術的ブレークスルーの40パターン」にまとめた。その40パターンは「発明原理」と名付けられている。

例えば、製品の「強度」と「重量」が矛盾することはよくある。一般的には最適な強度と重量のバランスを試行錯誤する。これをTRIZの手法で分析すると、「分割の原理」といった定石が解決策の候補になる。分割の原理を適用すると、製品の中で強度が必要な個所を分割し、そこだけ頑丈な素材を使うといったアイデアが生まれる。
3.手順
抽出された問題を極限まで深化させ、発明問題解決のアルゴリズムシステム対立克服の手法、技術システム進化の法則、標準解、知識データベース、検索システムなどの助けを借りながら問題の解決を行う。このうち、とくに設計者が親しみをもって頼りにするのが解決の例題である。
4.まとめ
TRIZは設計・開発・研究などで経験・勘・前例踏襲・偶然のひらめきなどに頼らずより確実に解決策に近づくことができる合理的な手法だと言える。ただし、自分の問題を正しく分析してうまく抽象化しなくてはならない。参考になる法則や原理を導き出すために必要なのは「何が問題であるかをはっきりさせること」と、「元の問題の本質を失わずに抽象化すること」の2つが重要である。
補足
TRIZの創始者は、旧ソ連のゲンリック・アルトシューラー氏(故人)である。TRIZが西側諸国で知られ始めたのは1990年代からである。日本企業では、日立製作所や松下電器産業などの大手電機メーカーを中心にTRIZの活用が広がった。また韓国のサムスングループは98年から電子部品の開発などでTRIZを組織的に活用してきた。
1997 年 TRIZ は日本で「超発明術」として紹介された。超発明術という意味を早合点し、TRIZ を使えば誰でも自動的に発明ができるようになると思いこんだ企業が TRIZ に飛びついた。しかし多くの企業が思うような成果を出せなかったことで、結果として TRIZ は使えないという誤解を産んだ。
その後アイデアを出す段階と、アイデアをコンセプトに磨き上げる段階を明確に分離するなど「日本式活用法」が検討された。また他の方法(VE、QC、タグチメソッド、シックスシグマ)の長所を取り入れるなど進化している。
以上