故障曲線・バスタブ曲線 2020.5.11

機械や設備の故障率は時間とともに変わる。この時間と故障率の関係を故障曲線と呼ぶ。故障率の定義を述べ、故障曲線の特徴を述べる。
1.定義
故障率とは、時間が経過することによって起こってくる機械や装置の故障の割合である。
2.特徴
バスタブ曲線(故障率曲線)とは、時間が経過することによって起こってくる機械や装置の故障の割合の変化をしめすグラフのうち、その形が浴槽の形に似ている曲線のことである。

機械・装置の機器の使用開始直後は、製造上の欠陥によって初期故障が発生する可能性があるが、時間とともにこれらの故障は取り除かれる。これを初期故障期という。一般に約1年間とされている。製造欠陥による故障は時間と共に減衰するが、軽微な欠陥は依然として残るので偶発的に故障が発生する。これを偶発故障期という。一定期間経過後は、構成要素の劣化が始まるために、故障率が時間とともに増加する。これを摩耗故障期という。
故障率曲線の代表的なパターンには、指数分布で下降するもの、指数分布で上昇するもの、直線的なものがある。バスタブ曲線が適用出来るのは、半導体デバイス(マイコン、メモリー、ICなど)や電子機器、電気用品が多く、多くの機械類や電動機などは初期故障と偶発故障も少なくなっており、摩耗故障期間では指数的に上昇することが分かってきた。例えばジェット旅客機ではバスタブ曲線の故障率を示すのは10%未満であることが報告されており、故障率曲線は機体整備の間隔を決めるための大事な情報となっている。
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補足
機械・装置を使用および運用可能な状態に維持し、または故障、欠点などを回復させるためにおこなう活動が保全、保守あるいはメインテナンスである。保全は、機械・装置の使用中の故障の発生を未然に防止するための予防保全と故障後に機械・装置の機能を修復する事後保全に大別される。
予防保全は更に一定の時間間隔で行う定期保全(定期点検)と運転時間がある値になる毎におこなう経時保全に分かれる。自動車の6ヶ月点検と3000km点検のような考え方といえる。
バスタブ曲線などの故障率曲線は、予防保全をいつ行うかを決めるのにとても有効な情報であり、機械・装置の使用者は製造者の助言する予防保全を適切に行い安全に使用する事が大事である。
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