設計の重要性 2020.5.5

1.はじめに
製品開発においては、設計・製造・流通・販売・回収・解体・リサイクル使用など、製品開発により、その製品がライフサイクル全般にわたって要求される項目を、あらゆる角度から検討する必要がある。また、製品が市場のニーズに合わせてタイムリーに投入される必要があるため、製品コンセプトの段階から、詳細設計までの期間を短縮し、設計変更を少なくする必要がある。すなわち、設計の迅速化と質の向上が製品開発における重要課題となる。以下に、設計が行う主な項目ごとにその重要性について述べる。
2.要求される仕様の決定
最初に、新製品に要求される性能・構造・外観・操作性などの基本事項を決定する。既に類似品が市場に投入されている場合には、その製品が市場の要求に充分みあっているのか、使用者の満足していない部分に焦点をあて調査する必要がある。
3.基本設計
要求仕様が決まれば、次は基本設計を実施する。市場調査結果から、顧客ニーズに合う製品の性能特性等の仕様に従って、より具体的に新製品の基本設計を進める。基本設計では、性能・構造・操作性・製造方法・各部品の使用材質・外観など多方面からの検討を実施して、設計仕様書・基本設計図面・購入要求書・製作・検査仕様書・工程計画書などの書類を作成する。
4.詳細設計
基本設計に基づいて、詳細な応力計算・解析・性能予測を行い、各部品の製造方法や組立手順・方法を検討して、その結果に基づいて配置図、組立図、その後、部品の工作図面を作成する。また工程短縮のためにコンカレント設計の実施に伴い、その手段として三次元CADを共通データベースで運用するシステムが採用されている。また、標準化や設計情報管理をおこない、設計の効率化を図る。
5.設計検証・審査
基本設計や詳細設計段階において作成された資料や図面に基づいて、関係者による検証・審査を実施する。例えば、性能評価においては市場のニーズに合った所定の目標を満足しているか、構造評価では軽量化や最適設計、寿命保証、信頼性設計が実施されているか、また、省エネルギーや公害対策が考慮されているか、などの評価について、検討すべき項目をリストアップして定量的に実施する。
6.コスト削減
コストの削減を実施するためには、部品点数の削減、新素材の活用による重量削減、標準部品を多く採用するとともに生産方法を検討してその簡略化を図り、新製品の原価低減を実施する。なお、市場にある従来商品と比較して、新製品の性能や機能と価格の比、即ちコストパフォーマンスの良い製品を作ることが求められている。これも設計段階で検討する必要がある。
7.品質の確保
顧客が満足しない製品は、欠陥がなくても良い品質とは言えない。これは製品の企画・性能・デザイン等が悪いためであり、設計の本質が品質不良として問われることになる。品質を確保するためには、製造前にあらゆる事項を設計段階で考慮・検討する必要がある。
8.まとめ
このように製品開発においては、製品コンセプトの初期の段階から、製造までの製品化に必な
多くの項目に設計部門が関与しており、設計が果たす役割は重要となっている。
以上