心理術「ターゲッテッング」と「ポポネポ」 2014.5.12

今回の話は、最近読んだ心理学の本のなかで、面白いと感じた2つの事についてお話します。まず1つめが「ターゲティング」です。
ある司会の人が100人の集団に対して「みなさん、力いっぱい拍手をしてください」と呼びかけたとき実際は、どのくらいの大きさの拍手が起きたかを測定した実験があります。
次に同じ司会の人が、「この2列の席の方だけ、力いっぱい拍手をして下さい」とターゲットを絞ってお願いすると、一人ひとりがさきほどの3倍もの力を込めて拍手をするという実験の結果が出たそうでうす。
これはどういう事かというと、人はただ集団になるだけで自然と「まあ、いいか」という適当な判断や行動に出やすい、という事です。
この現象をうまく打破する方法が「ターゲッティング」と呼ばれているものです。これは生命保険のコマーシャルなどでも見かけるのですが、保険は基本的に誰にでも関係のあることですが、だからといって「みなさん、ぜひこの機会に加入をおすすめします」と漠然と呼びかけても、あまり反応されません。
「みなさん」という単語は、集団的手抜きを助長する代表的なものなので、一人ひとりの心にはあまり響かないです。
最近はターゲッティングを利用することによって、「30代の女性のための保険」とか「60歳から入れる保険」と、あえて客層を絞ることで「これは自分のための保険だ」と思わせることで加入者を急上昇させている保険会社があるそうです。
今年の戦略発表で一流のものづくりができる企業を目指そうという強いメセージがありました。ターゲッティングを考慮すると、この指示に対して「私達」の部署ではどうすべきか、「自分」はどう努力するか等、「自分」の事として認識し、取り組めるかどうかが一流になれるかどうかのポイントだと私は感じました。
次に紹介するのは、「両面提示効果」とい心理術の技です。電気屋さんに行ってデジカメを買うための商品説明聞いていると仮定してください。
「画質が良くてコンパクト、しかも手ブレにも強いですよ」という説明を受けたとします。長所ばかり並べられると、人は一般的に胡散臭さを感じてしまいます。しかし、ちょっとだけ短所を交えると、急に信憑性が上がる法則です。
例えば「画質が良くてコンパクト、値段はちょっと高めですけどその分手ブレに強いですよ」という説明のほうが明らかに嘘っぽさは減ります。ポジティブな面だけでなく、あえてネガティブな面を交えることで、商品価値を高めるテクニックのことを「両面提示効果」と呼ぶそうです。
これは長所だけを畳み掛けるより、説得力が数倍も上がることが実証されているそうです。この説明で気をつけなければならない点は、「最初」にネガティブなコメントから入ると、その情報に後々まで引きずられてしまいます。
また「最後」にネガティブなコメントがきても今度はネガティブな印象だけが残ってしまうという事です。
最も効果的なのは「ポジティブ・ポジティブ・ネガティブ・ポジティブ」という順番、構成がミソになります。
例えば粉砕機を売り込む場合、「コンパクトな粉砕機ですよ」「粉砕性能抜群」「少しお高いですが」「その分、安全性・操作性を十分考慮したいい機械」です。なんて説明すると思わずお客様は思わず買ってしまうわけですね。
粉砕機とデジカメは違って?そうは簡単にはいかない?そうですよね。
最後におさらいしますと、「ターゲッティング」ある狭い範囲に限定され、その中に自分が入っていると、それは自分のものと思ってしまう心理。
「両面提示効果」は、「ポポネポ」の順で、ひとつだけネガティブな要素をいれておくとかえってポジティブな印象を出せて説得力が増す法則。
今日の話は、仕事と関連させるのは、ちょっと無理があったかもしれませんが、こんな回もたまにあっていいでしょうという事で、お話しました。
今週も張り切って一週間を過ごしましょう。以上です。