パース旅行とマッド・マックス 2006.8.1

映画館で初めて字幕付きの洋画を見たのは中学校1年のときだった。タイトルは「マッド・マックス」。妻と幼い息子を暴走族に殺された主人公の警察官、マックス[メル ギブソン]が、ボンネットからスーパーチャージャーが突き出たインターセプターに乗り、次々と復讐を果たしていくバイオレンス映画である。オーストラリアの赤茶けた荒野と灰色の空の下、悪役の乗るバイク、カワサキZ-1000が激走していくシーンが印象的だった。

前置きが長くなったが、妻と2人夏休みを利用してオーストラリアへ行ってきた。オーストラリア北西部に位置する都市パースを基点に近郊の島や名所を巡った。
レンタカーでパースの街を抜けると富士の樹海のような景色が1時間近く続き、次に現れたのは牧草地や菜の花畑だった。景色は北海道に似ているが、その広大さと車と人の少なさは新鮮で、かつ驚きである。1時間走って一度も対向車が来なかった事もあった。ハンドルは運転好きな妻が、あらかた握っていた。
パースから東へ350km、車で片道5時間かけて「ウエーブ・ロック」にも行った。これは高さ15mの巨大な波が瞬間的に凍結したように見える一枚岩である。
ロットネスト島では、昔刑務所だった建物をホテルに改装した宿に泊まり、自転車をレンタルし半日かけて島を一周した。この島は自然保護にかけては徹底しており、島を巡る道路は一般車両通行禁止である。島は自転車か観光バスでしか廻れない。この日は天気に恵まれ、最高のサイクリング日和であった。ちなみにオーストラリアでは自転車に乗る際、ヘルメット着用が義務づけられている。

「マッド・マックス」で見た、乾ききった荒涼な風景を想像していたが、今回訪れた場所は違った。土地は肥沃で美しく、街は安全で何のトラブルも無かった。パースには緑豊かな公園が多くあり、建物も歴史的建造物と近代的なビルが絶妙にマッチしていた。
また物価も安く、治安も良いので「世界一暮らしやすい都市」、「世界で一番美しい都市」と呼ばれているそうだ。世界一かどうかは私には判らないが、夏休みを過ごすのには快適な場所であった。